安井は1937年から数回、満州国美術展の審査のため中国を訪れています。
今回ご紹介するのは、1944年の新京北京旅行の際に描かれた作品です。
抜けるような晴天、城壁の淡紅色の壁、黄色の屋根、それぞれの色彩のコントラストが
鮮やかです。
躍動感に満ちた筆の描線は、安井の試行錯誤の末に到達した領域なのでしょう。
安井曽太郎のたどり着いた最高の水彩です。
彼の見た紫禁城と晴天の空。空気やそよ風の音など感じられませんか?
(安井曽太郎 作品名:「紫禁城(北京)」青龍堂)
このもう少し後ろから見た構図の油彩の作品が、ポーラ美術館に収蔵されています。
見比べてみるのも楽しいものです。それぞれどんな空気感が伝わっって来ますか?
(写真右:安井曽太郎 作品名:「中国風景」ポーラ美術館)
作品と同じ場所の午門(紫禁城の正門)の写真が見つかったので載せておきます。
作品情報
安井曽太郎「紫禁城(北京)」
26.4×34.8cm
鉛筆・水彩 紙
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定書あり
(文/青龍堂店主)
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